退職金運用の失敗事例をご紹介します。
退職金に失敗してしまうと、老後生活に支障が出てしまいます。
収入源が年金しかない以上、退職金運用は慎重に判断する必要があります。
本当にかわいそうな人だと、退職金を全部失ってしまう人もいます。
ですが、お金を増やそうとして決断をしたのは本人ですから、自己責任ということです。
退職金運用をしてほしい金融機関や不動産業者は「おすすめですよ!」と熱心に勧めてきますが、運用に失敗しても損失を補てんしてくれるわけではありません。
投資は自己責任ですから、慎重になることはもちろん、自分でも学ぶ姿勢を持ちましょう。
世の中、何もしないでお金が大きく増えるというような、うまい話はありません。
投資や運用を学ぶ気がないならば、退職金運用はおすすめしません。
退職金運用で失敗してしまった人たちの事例を参考にしていただき、ご自身の退職金運用では失敗しないようにしてください。
それでは、さっそく見ていきましょう(^^)
退職金が振り込まれると銀行から電話がかかってくる!
退職金が銀行口座に振り込まれると、銀行から電話がかかってきます。
現役時代には会ったこともないような、銀行の支店長など偉い人から電話がかかってくることもあります。
「ご退職おめでとうございます。今度ぜひご自宅にお伺いしてご挨拶したいのですが…」という内容です。
簡単に言うと「退職金運用の金融商品の提案をしたいので、家に行っていいか?」という営業の電話です。
担当者と支店長が自宅に本当に家に来て、支店長があなたの現役時代の話を熱心に聞いてくれます。
このときは退職金運用の話や金融商品の話は一切ありません。
支店長は話を熱心に聞いているだけです。
ひとしきり話が終わると、担当者を残して支店長は先に帰ります。
残された担当者が退職金運用の金融商品の提案を始めます。
支店長に話を聞いてもらった人は気分を良くしてしまうことが多く、手数料の高い金融商品(銀行が売りたい商品)に手を出してしまう、という感じです。
また、退職金が振り込まれたあとにお金を引き出しに銀行に行くと、銀行の応接室に通されて、支店長が対応してくれるケースもあります。
これも退職金運用の金融商品の提案です。
考えてもみてください。
一銀行の支店長が、わざわざ個人顧客のために時間を割いて、営業をするというのは変だと思いませんか?
忙しいであろう支店長が、なぜそこまでするのか?
それは「退職金運用の金融商品が売れると儲かるから」です。
銀行の本業は「お金を貸すこと」のはずでした。
資金調達をしたい企業にお金を貸して、利子をとって儲けるのが本来の銀行業です。
ところが、今は超低金利の影響もあり、銀行はお金を貸しても儲からないのです。
住宅ローン金利は変動金利であれば1%を切っています。
金融商品を販売すれば、投資金額の3%くらいの手数料が銀行に入りますので、金融商品を売る方が儲かるのです。
銀行はいつの間にか「金貸し」ではなく、「金融商品屋さん」になっているのです。
銀行が勧める商品=安心ではない
「銀行が熱心に勧めてくれるんだから、投資信託でも始めてみようか」と安易に退職金を出してしまう人がたくさんいますが、注意してください。
銀行が勧めてくる商品が安全とは限りません。
投資は自己責任です。
銀行が勧めてくる金融商品だって目減りしますし、元本割れもします。
中には2~3割も減ってしまう金融商品もあるため、注意が必要です。
退職金は、あなたが現役時代に積み重ねてきた努力の結晶です。
その努力の結晶を一瞬でなくしてしまうような金融商品に手を出してはいけません。
銀行の営業マンも、証券会社の営業マンも、保険会社の営業マンも「ノルマ」があります。
ノルマをこなすためには、販売手数料の高い商品を売らなければいけません。
そのため、銀行・証券会社・保険会社が勧めてくる金融商品は「お客様にピッタリの金融商品」ではなく、「営業マンが売りたい金融商品」のことがあります。
金融機関によっては「この商品を月に〇本売れ!」というノルマ設定をされているところもあるため、営業マンは「お客様に合う金融商品」を勧めている場合ではありません。
ノルマを達成するための商品を提案してくることがありますが、それが本当に良い金融商品であるとは限りません。
そもそも、販売手数料が高い金融商品は、販売手数料が高い分お客さんの手取りは減るということですから、お客さんのための金融商品ではありません。
また、販売手数料が高い商品はリスク性が高い金融商品であることが多く、営業マンは儲かるかもしれませんが、投資した人は大損する危険性があります。
銀行・証券会社・保険会社に言われるままに金融商品に投資して、大切な退職金を減らしてしまう人がたくさんいますので注意してください。
※もちろん、中には親切な担当者もいますが、向こうは商売であることを忘れてはいけません。
定期預金に預けた人の失敗事例
Aさんは長年勤めてきた会社を定年退職し、2000万円の退職金が振り込まれました。
投資に対して「リスクがある、危険」という印象を持っていたAさんは、元本保証のある定期預金に退職金を全額預けることにしました。
銀行員に勧められたのは「退職金専用の定期預金」で、3ヶ月間は金利が2%の定期預金でした。
Aさんは勧められるままに、その定期預金に退職金を預けました。
3ヶ月後、約8万円もの利息がついたことにAさんは大喜び。
今まで投資には「リスクがある、危険」という考えだったのが一転、「ちょっと投資をやってみようかな…」と思い始めました。
預けていた定期預金は3ヶ月満期を迎えると、0.1%ほどの金利に下がってしまうため、Aさんは次の投資方法について考えていました。
そんなとき、銀行からタイミングよく投資信託の話をされて、ちょうど興味をもっていたAさんは600万円を投資信託に預けました。
ところが、Aさんが始めた投資信託は2年後には-20%もの損失を出し、Aさんは約120万円ものお金を失ってしまいました。
Aさんは投資信託に手を出したことに後悔しています。
定期預金の満期後に銀行から営業がある
Aさんの事例は、典型的な「定期預金でお金を増やしてあげて、その後投資信託を売る」という営業手法です。
退職金を受け取った人は、今まで手にしたことがない大きなお金を手にするという人が多いです。
退職金専用の定期預金は最初の3カ月くらいだけ金利を大きく上乗せして、お客さんを喜ばせます。
預ける金額も大きいですから、2%程度の金利でも大きな利息を受け取ることができます。
本当の狙いは定期預金の満期後です。
中には「投資とか運用するとお金が増えるんだ!」と興味を持つ人がいるため、そうした人に銀行は手数料の高い金融商品を勧める傾向にあります。
「銀行にお金を増やしてもらった!」という経験があるため、銀行の提案を信用してしまいリスク性の高い金融商品に手を出し、大切な退職金を減らしてしまう人がいます。
銀行の提案がすべて悪いとは言いませんが、「銀行が勧めるものだから大丈夫」というのは間違いです。
定期預金の利息はありがたくいただいておいて、その後の投資商品の提案には乗らないというのもアリです。
投資信託の失敗事例
退職金をもらったBさんは「定期預金に預けておくだけじゃ利息も雀の涙だし、何か資産運用をしてみたい」と思っていました。
退職金が振り込まれた銀行から、いくつか投資信託を勧められました。
今まで投資や資産運用をしたことがなかったBさんは、銀行員の話に純粋に面白さを感じました。
「そうか、老後は自分が働けないんだから、お金を働かせるっていう考え方は大事だな」と素直に思ったBさんは、銀行員に勧められるままに投資信託を購入しました。
投資や資産運用が初めてだったBさんは、正直自分が購入した投資信託の内容を細かくは理解していませんでしたが「銀行の人がこれだけ熱心に話してくれるんだから、悪いものじゃないだろう。まずはやってみよう」という軽い気持ちで始めました。
投資金額は600万円。
Bさんの購入した投資信託は最初は良かったのですが、その後みるみる下がり始めました。
銀行の担当者に相談しても「投資は減ることもあります。待つことで回復することもあります」と言われたため、我慢強く待ってみることにしました。
ところが、目減りは止まらず、最終的に-25%まで減ってしまいました。
お金が減っていくことで精神的にも疲弊していたBさんは投資信託を解約。
約150万円を失ってしまいました。
投資信託のリスク
Bさんのようなケースがもっとも多いでしょう。
投資信託を銀行が勧めてくるのは「販売手数料が高いから」という理由があります。
「今月、この投資信託を〇本売れ!」とノルマを設定されている金融機関もあるため、Bさんのためではなく、銀行担当者のノルマのために販売された可能性がありますね。
銀行員に悪気はなかったと思いますが、安易に手を出してしまったBさんの自己責任です。
投資商品を選ぶときは、自分で説明できるほど理解している必要があります。
初めての投資商品は、知らない用語が出てきたり、感覚がわからないこともあり、説明の途中から頭に入らなくなる人がいます。
投資商品の話をぼんやり聞くのはNGです。
その投資商品のことを自分で説明できるほど理解していないなら、手を出さない方がいいです。
また、どんなに優れたトレーダーでも、-20%まで減ってしまったものを0に戻すのは難しいと言われています。
※景気が良かった時代であればまだ可能でしたが、今の時代では-20%からの復活はプロでも難しいようです。
投資をするときは「どこまで減ったら損切りするか?」を決めておきましょう。
「損切り」とは、「ここまで減ったらやめる」ということです。
「-10%に減ったらやめる」「-5%に減ったらやめる」と、自分の中で最初からルールを作るのが基本です。
損切りは大事な投資手法です。
仮に、辞めないで待っていれば上がったものであっても、損切りした方が良いです。
投資の目的は「お金を増やすこと」ではなく「お金を減らさないこと」だからです。
投資にギャンブルの要素があるなら、やめた方がいいですよ。
ファンドラップの失敗事例
Cさんは退職金運用を考えていました。
「リスクを減らすには分散投資が良い」と投資の本で勉強したCさんは、どのように分散投資をするかを考えていました。
証券会社に相談したところ、ファンドラップを勧められました。
「投資資金を証券会社に預けて、複数の投資信託に分散投資する」という手法が気に入って、ファンドラップをやってみることにしました。
Cさんは「そもそも、投資信託でも分散投資ができているうえに、投資信託自体も分散投資してくれるのが良い」と思ったそうです。
実際にファンドラップをやってみると、運用成績は好調でしたが、問題は手数料が高いことでした。
ファンドラップは投資信託の手数料と、証券会社の手数料がかかるため、運用成績が良くても手取りが小さくなってしまいます。
また、あるときから運用成績がマイナスになってしまい、元金は減るし、高い手数料はとられるしで、Cさんのお金はどんどん減ってしまいました。
ファンドラップは手数料が高い
ファンドラップは、銀行や証券会社にお金を預けて、複数の投資信託で運用する方法です。
分散投資という観点では良いのですが、投資信託の手数料と、銀行・証券会社への手数料が二重でかかってしまうため、手取りが小さくなります。
運用成績が悪いときは、運用損と手数料のダブルパンチになってしまうため、お金の減り方も早いです。
また、「投資の基礎は分散投資」という考え方は合っていますが、分散投資も完璧ではありません。
どんなに分散投資しても、全部減ることがあります。
ファンドラップは「分散投資」というセールスポイントがありますが、分散投資だからといって安全とは限りません。
債券投資の失敗事例
退職金運用を考えていたDさん。
「投資リスクは嫌だから、リスクの低いものがいいな」と考え、リスクの低い債券への投資を考えていました。
しかし、日本国債に預けたところで金利は低いため、外国債券への投資を検討しました。
国の信用度も考慮して、米国債券の2年ものを300万円でやってみることにしました。
しかし、運が悪いことにDさんが米国債を買ったときの為替は1$=120円の時代。
2年の償還時の為替は1$=108円でした。
金利はついたものの、ドルから円に戻したときの為替差損が約25万円出てしまいました。
「債券はリスクが低い」と思っていたDさんにとってはショックな結果になってしました。
外国債券は為替リスクがある
リスクを抑えた投資には債券が良いですが、日本国債の金利は現在0.1%くらいしかありません。
日本国債のメリットは為替リスクがないことですが、さすがに金利が低すぎるため、外国債券を購入する人が多いです。
Dさんの事例のとおり、外国債券のリスクは為替リスクです。
2008年のリーマンショック以前のドル円の平均為替レートは1$=114円と言われていました。
ですが、リーマンショック後には1$=70円台の時代が続きました。
為替は誰にも読むことはできません。
リーマンショック以前は、誰もが「いくらなんでも1$=70円台になることはないだろう」と思っていましたが、実際に起こっています。
日本円を外貨に換えたら、日本円に戻すタイミングは慎重に検討しましょう。
もし、円高が進んで為替差損が起きる場合は、為替差損がなくなるまで為替レートが動くのを待つのが得策です。
何年もかかることがあるためケースバイケースですが、待てるなら為替で損しないまで待ってから円に戻すことをおすすめします。
株式投資の失敗事例
退職金をもらったEさんは、以前から興味があった株式投資を始めてみようと考えていました。
投資信託などで金融機関に任せきりにしていたら大損したという話を聞いたことがあったため「やっぱり投資は自分でやるものだ」と思ったそうです。
株式投資の勉強も始め、株式投資は少額から始めたそうです。
ですが、やはり素人が最初からうまくいくものでもありません。
Eさんは最初に100万円ほどの損失を出してしまいました。
ところが、退職金を原資にしていたEさんは焦ってしまい「何とか100万円を取り戻したい」と思ったそうです。
焦りから、情報不足で別の株式に投資してしまい、さらにお金を減らしてしまいました。
損失を早く取り返すために、さらに判断能力が低下した状態で次の株式へ投資するも、また失敗。
結局、Eさんは500万円もの損失を出してしまいました。
Eさんはその後、一切の投資活動を辞めています。
株式投資に焦りは禁物
株式投資でもっとも多い失敗は「損失を早く取り戻そうとして焦ってしまう」というケースです。
判断能力も低下するため、さらに損失を大きくしてしまうリスクがあります。
どうも「株式投資」というとデイトレーダーのようなイメージが強い人が多いのですが、株式投資は本来長期でやるものです。
投資の神様と呼ばれるウォーレンバフェット氏も、一度買った株式は長期で保有するそうです。
上がった下がったで一喜一憂せず、長期運用することでリスクを減らします。
もし、株で損失を出してしまっても「授業料」だと割り切る姿勢も大切です。
始めから投資に成功する人はいませんし、投資に失敗しない人はいません。
社会人1年生のときから1つずつ仕事を覚えてきたように、投資の世界でも勉強をし続ける必要があります。
※勉強する気がない人には投資はおすすめしません。
特に、投資初心者のうちは最少額から始めてみることがおすすめです。
授業料を払うにしても少ない授業料(損失)の方が良いですからね。
FXの失敗事例
退職金運用を考えていたFさんは、友人がFX(為替取引)で大儲けしたのを聞いてFXに興味を持ちました。
FXで大儲けした友人に話を聞いてみると「為替の動きって、ある程度の法則があるんだよ。今度教えてやろうか?」と言われたため、Fさんは喜んで友人からFXのレクチャーを受けました。
FさんはFX初心者ということもあり、最小金額でレバレッジをかけずに練習を始めました。
※「レバレッジ」とは、投資金に倍率をかけて、実際のお金よりも大きな金額で取引できることです。
そして、実際に友人の教え通りにやってみると、失敗することもありましたが何とか利益を出すことができました。
「たしかに、この法則でFXを続けていけば大きく儲けられるかもしれない」と思ったFさんは、FXにさらにお金を入れて、レバレッジをかけました。
ところが、その頃から友人に教えてもらった法則が通用しなくなったのです。
為替は法則と逆の動きをすることが多くなりました。
聞けば、友人も「法則が当てはまらなくなった…」と、FX取引の指針を完全に失っていました。
あるとき、Fさんがユーロの為替の読みを大きく外し、どんどん損失が大きくなってしまいました。
そして、レバレッジをかけていたことが仇となり、追い証拠金を払わなければいけなくなってしまいました。
レバレッジをかけると実際に入れたお金よりも大きな金額で取引できて、実際の儲けよりも大きな利益をもらうことができますが、損失も実際の損失より大きくなります。
レバレッジをかけて証拠金が足りなくなると、追加の証拠金を入れなければならないのです。
Fさんは追い証拠金で大きく退職金を減らしてしまいました。
Fさんは追い証拠金を入れた段階でFXが怖くなり、その後一切の投資活動をしていません。
FXのレバレッジに要注意
FXは、安く通貨を買えるときに買って、高く売れるときに売る為替取引です。
前述の通り、レバレッジをかけると実際の投資金額(証拠金)よりも大きい取引ができます。
レバレッジをかけた取引で利益が出れば実際の儲けの何倍も儲かりますが、損失も同じく実際の何倍もの損失になります。
大きな損失がでて証拠金を下回ってしまうと、追加の証拠金を払わなければいけません。
追加の証拠金を「追い証拠金」と言います。
追い証拠金を払うお金がなければ、借金する人もいます。
退職金運用の場合、退職金全部をFXに入れる人はいませんが、追い証拠金が発生してしまうと退職金を大きく減らしてしまいます。
FXのレバレッジは大きなリスクがあると知っておきましょう。
不動産投資の失敗事例
退職金をもらったGさんは、老後資金の足しに退職金運用を考えていました。
たまたま不動産会社の営業マンと知り合い、話を聞くことになりました。
投資信託や株式投資など金融投資に比べて、不動産投資のメリットを聞かされました。
- 不動産は実物があるため、評価額が一定額より下にならない
- もし不動産が地震で壊れたり、火事になっても、火災保険や地震保険があるから安心。投資に保険をかけられるのは不動産だけ
- もし入居者が入らなくても、サブリース(家賃保証)があるため、家賃は保証される
- 不動産は相続税の評価額を下げられるため、相続税対策にもなる
などのメリットを教えてもらいました。
「家賃収入が入る」というわかりやすさもあり、Gさんは不動産投資をしてみることにしました。
勧められたのは、小規模のマンション建設です。
もちろん、退職金を全部使っても足りませんので、銀行から借金してマンションを建てることにしました。
Gさんが不動産投資に踏み切った最大の理由は「サブリース(家賃保証)」です。
不動産運営の最大のリスクは「空室リスク」です。
入居者が入らなければ家賃は入りませんし、銀行への返済は自腹で行うことになってしまいます。
ですが、サブリースがあれば安心だと思いました。
土地代の安さなども考えて、マンションは少々郊外の方に建てました。
「駅からちょっと遠いけど、みんな車も持っているだろうし、何より家賃保証があるから大丈夫」とGさんは思っていました。
いざマンションが完成し入居者を募集すると、新築ということもあり、なんと満室にすることができました。
Gさんは「不動産投資をして良かった」と、心の底から喜んでいました。
ところが、4年経つころから空室が出るようになりました。
築年数が古くなるごとに、立地の悪さが影響して、空室が増えていきました。
それでも、サブリースがあったため、家賃収入は安定していました。
しかし、その数年後にGさんは耳を疑うことを聞かされます。
「サブリースの保証金額は年々減っていく」ということです。
「そんなことは聞いていない!」と憤慨しましたが、契約書を見てみると確かに「サブリースの保証金額は減っていく」という旨の記載がありました。
Gさんのマンションは年数が経つにつれて空室が増えていき、サブリースで入金されるお金も減っていきました。
ですが、銀行への返済額は減りません。
ついに、Gさんのマンション経営は逆ザヤになってしまい、毎月の返済がGさんのお金からも出ていくようになりました。
年金や退職金を切り崩しながらローンの返済をすることになり、Gさんは不安で眠れない夜があるそうです。
不動産投資のリスク
Gさんのように、老後の資産運用で不動産投資をする人がいますが、失敗する人も多いので注意してください。
不動産投資のデメリットは、
- 簡単に辞められない
- 借金することが多い
- 入居者が入らない
などです。
投資信託や株式投資は辞めるのが簡単ですが、不動産投資を辞めるのは面倒です。
売却するのであれば買い手を探さなければいけませんし、解体するにも解体工事費用がかかります。
不動産投資をするなら、相当慎重な判断が必要です。
不動産会社の営業マンに「サブリース」の話をされて、不動産投資に手を出してしまう人も多いです。
前述の通り、サブリースは年々保証額が減っていくため、Gさんのように赤字になってしまうことがあります。
不動産投資でもっとも大切なことは、基本中の基本である「入居者が入りやすい物件であること」です。
大きな要素は立地です。
もっとも理想的な立地は「駅から徒歩5分以内」です。
「駅から徒歩5分以内」に該当しない物件は、築年数が古くなるほど、入居者が入らないと思ってください。
サブリース頼みの不動産投資は絶対にNGです。
借金が残る点でいうと、リスクの高い投資方法とも言えます。
詳しくは「不動産投資は失敗するリスクがある!ローンで利回りが下がる?」も読んでみてください。
ヘッジファンドの失敗事例
Hさんは2000万円の退職金をもらいました。
ネットで調べてみると「ヘッジファンドがもっともリスクが低く、リターンも大きい」と書かれていました。
ヘッジファンドとは、富裕層や年金基金・機関投資家などを顧客に運用を行う投資のプロ集団のことです。
顧客から資金を預かって運用するという点は投資信託を似ていますが、預けられる最低金額が1000万円以上と高額なところが多いです。
ただし、資金量が多いこともあり「絶対収益」という市場全体の株価指数が下がってもリターンを生み出すことができます。
利回りは10~15%が期待できるため、リスクを小さく抑えて大きな運用益を出すことができる手法です。
Hさんは「ぜひヘッジファンドに投資したい!」と思い、2000万円の退職金のうち1200万円をヘッジファンドに投資しました。
たしかに、運用成績は良く、Hさんも満足していました。
ところが、Hさんの母親が認知症になってしまい、施設に入居する費用が必要になりました。
Hさんの母親はあまりお金がなかったため、Hさんが施設入居費用を出すことになりました。
ところが、施設入居費用を出すためには、ヘッジファンドを解約しなければ資金が足りません。
Hさんは仕方なくヘッジファンドからお金を引き上げ、施設の入居費用にあてました。
大切な母親のためですからね、仕方ありません。
ですが、Hさんはもうヘッジファンドに入れられるお金がなくなってしまいました。
Hさんは徐々に減っていく退職金の残高に不安を抱きながら今も生活しています。
ヘッジファンドは高額投資が必要
ヘッジファンドは業況が悪化しているときでも利益を出すことができ、リスクを抑えながら大きなリターンを狙うには良いでしょう。
ただし、前述のとおりヘッジファンドは多額の資金が必要なため、一般の退職金ではなかなか非現実的です。
退職金のほとんどを運用に回すわけにもいきませんし、そもそも投資は「使う予定のないお金」で行うのが基本です。
ヘッジファンドは確かに魅力的ですが、あくまでも富裕層向けの投資先と言えます。
怪しい投資ファンドの失敗事例
退職金をもらったばかりのJさんは「銀行にお金をおいていても増えないし、何か金利の良いところに預けたい」と考えていました。
そんなときに、友人の誘いで「資産運用勉強会」に参加しました。
勉強会の前半は老後の資産運用の話だったのですが、後半はフィリピンで育てている油がとれる植物への投資話でした。
なんでも、その植物からとれる油はバイオ燃料としても注目されているということや、1本の木から何度も実の収穫ができるというもので、継続的に油をとることができるというものでした。
その油がとれるフィリピンの農場に1口40万円で投資をすると、4~5年で2倍になるという話でした。
この勉強会にさそってくれた友人は、すでにこの投資に300万円ほど投資しているそうで、ようは「あなたも投資してみない?」という話だったのです。
友人の誘いということもあったので、Jさんは100万円ほど投資してみることにしました。
ところがそれから2年後、この投資の運営会社で横領(持ち逃げ)があり、投資資金がすべてなくなってしまったというのです。
投資家向けの説明会が開かれましたが、運営会社の社長は謝るばかりで具体的な被害額の返済の話はありませんでした。
簡単にいうと、Jさんは怪しい投資話に騙されてしまったというわけですね。
怪しい投資話には絶対に投資しちゃダメ!
金融機関ではない会社の投資話には、絶対に投資してはいけません。
99%は詐欺か、資金が溶けてお金がなくなってしまう話です。
なぜ、国が金融機関を認可制にしているかというと、責任能力があるからです。
もし何か投資事故があったときに、顧客を守れる資金力がある会社だけが、国の認可を受けた金融機関になれるのです。
ですが、国の認可を得ずに投資商品を販売している業者があります。
こうした悪徳業者の特徴は、
- ホームページがない
- ホームページあっても、詳しい説明が書かれていない
- 投資の公募はしておらず、人からの紹介でないと購入できない
- 勉強会やセミナーで販売している
- 海外の投資話である
などです。
このような投資話がきたら、絶対に投資しないでください。
詐欺であれ、不慮の事故で投資資金が溶けてしまっても、いずれにせよ投資したお金は返ってきません。
過去にあった有名な無認可の投資事故は、
- 東南アジアでエビの養殖に投資
- ジャトロファという油がとれる植物への投資
- フィリピンのリゾートへの投資
- ブックメーカーへの投資
- FXファンドへの投資
- 海外不動産への投資
などがありました。
絶対に投資しないでください。
何も運用しない人の失敗事例
Kさんは退職金を1500万円もらったのですが、投資や運用などというもの自体を信用していませんでした。
「投資なんて、みんな損しているじゃないか。俺は絶対にやらない」と決め込み、銀行から勧められた定期預金すら預けませんでした。
Kさんの公的年金が満額出るのは65歳。
退職した60~65歳は少ない年金ですので、退職金を切り崩して生活するしかありませんでした。
60~65歳の5年間で、退職金を600万円を使ってしまいました。
もらった退職金1500万円から600万円をつかってしまったため、残額は900万円にまで減りました。
そんなとき、Kさんの奥さんが大腸がんになってしまいました。
Kさんの奥さんは長期の入院から認知症を併発してしまい、大腸がんの治療費と介護費用がかかってきました。
病院を退院後は、いわゆる老々介護の状態になってしまい、Kさんは体力も気力も疲れ果てています。
退職金もどんどん減っていくため、Kさんはとても不安な老後を過ごしています。
何もしないこともリスク
リスクを嫌って退職金運用をしない人もたくさんいますが、退職金をどんどん切り崩していく生活は精神的に辛いものです。
今後入ってくる収入は公的年金くらいですので、きちんと計算して暮らさないと老後破産をしてしまいます。
退職金の残高があるうちに退職金を運用して、老後生活の後半に資金的な困窮に陥らないように対策することも大切です。
たしかに、投資はリスクです。
ですが、投資をしないことで、老後破産のリスクが上がります。
分散投資も完璧ではない
投資のリスクを下げるために「分散投資が大切」と言われますよね。
たしかに、一箇所に集中投資して、その投資先がうまくいかなかったら一気に退職金が減ってしまいます。
分散投資することで、一箇所に集中投資してお金を大きく失ってしまうのを防ぐ効果があります。
ですが、近年は分散投資でもお金が減ることがあります。
一般的な分散投資の組み合わせは、
- 日本と海外
- 株式と債券(株式がハイリスクハイリターン、債券はローリスクローリターンのためバランスをとりやすい)
- 短期商品と長期商品
- 一括投資と積立投資
などがあります。
これらは反対の関係にあるため、従来は「どちらかが悪くなれば、反対が良くなる」という関係性で分散投資によく使われてきました。
ですが、リーマンショック以降は今までの常識が通用しなくなっています。
日本株と海外株式が両方下がってしまったり、株式と債券が両方下落してしまうことがあります。
どんなに分散投資しても減るときは減ります。
今の時代は「先が読めない時代」ですので、分散投資をすれば安心という神話は崩壊しています。
それでは、どうすればリスクを抑えることができるのでしょうか?
自分で投資の勉強をする
投資に失敗するとき、良い失敗と悪い失敗があります。
悪い失敗は「なぜお金が減ってしまったのかわからない」という失敗です。
悪い失敗は、投資を金融機関などに任せきりにしている場合に起きやすいです。
投資を人に任せきりにした状態でお金が減ってしまうと、失敗から学ぶことができないのです。
投資に限らず、人は失敗から学ぶものですよね?
投資を人に任せきりにした状態で失敗すると、次にどうすればいいのかもわかりません。
金融機関の担当者から「この損失をこの金融商品で取り返しましょう!」と言われて、さらに追加で金融商品を購入して、さらに損失を大きくしてしまう事例がとても多いです。
これでは、大切な退職金がどんどん減ってしまいますし、金融機関のいいカモです。
「良い失敗」は、自分で投資の勉強をして、理由をもって自分で投資先を選んで投資して失敗することです。
この失敗であれば、何が悪かったのか検証できますし、同じ失敗をしないように次に活かすことができます。
良い失敗で出た損失は「授業料」とも考えられます。
投資の目的は「お金を増やすこと」ではなく「お金を減らさないこと」です。
お金を減らさないためには、自分で自分のお金をコントロールする必要があります。
投資したお金が減りだしたら引き出してしまえば良いのです。
※前述の「損切り」の技術です。
投資を人に任せきりにしていると、今自分の投資したお金が増えているのか減っているのかもわかりません。
自分のお金がどうなっているのかわからなければ対策を打ちようがありません。
忘れたころに残高を確認してみると、大きく損失を出しているということがあります。
もっともリスクを減らす確かな方法は、自分で投資の勉強をすることです。
投資の勉強をしたくない人には、悪いことは言わないので投資はおすすめしません。
自分で投資の勉強を始めるときは、最小金額で初めてください。
慣れてきたら少しずつ投資金額を増やしてみましょう。
※間違っても一気に投資金額を増やさないでください。
何とかリスクの低い退職金運用をしたい人は?
「自分で投資の勉強をするのが一番」なのはわかっていても、なかなかできないという人もいるでしょう。
投資初心者だけど、何とか退職金運用をしたいという人は、当相談センターにお気軽にご連絡ください。
相談料無料で、退職金運用の相談にものっています。
当相談センターは金融機関ではありませんので、金融商品の販売は一切ありません。
「初心者だけど、相談したいことがある」
「こんな初歩的なこと聞いていいのかな…?」
「いまさら聞けない基礎的なことをこっそり聞きたい」
という相談も多いです(^^)
公平中立な第三者の立場で、退職金運用の相談に無料でのっていますので、気軽にお問い合わせください。
あなたの退職金運用のお役に立てれば嬉しいです(^^)