投資信託のリスクとデメリットをご紹介します。
特に、投資初心者の人は投資信託で失敗しやすいので、注意してください。
この記事では、
- 投資信託のメリット
- 投資信託のリスクやデメリット
- なぜ投資信託では儲かりにくいのか?
- 投資信託のリスクを減らす方法
などをご紹介します。
投資信託を始めようと考えている人や、退職金が入ったので投資信託を検討している人、銀行や証券会社から投資信託を勧められている人に読んでいただきたいです。
投資信託を始める前に知っておいてほしい情報をお伝えします。
また、「すでに投資信託を始めてしまった!」という人も、今後どうしていくかの参考にしていただければと思います。
それでは、さっそく見ていきましょう(^^)!
そもそも投資信託とは
投資信託とは、文字通り「投資を信託する」ということで、プロのファンドマネージャーに投資を任せることができます。
もし投資信託がなかったら、自分で株式や債券・世界情勢・為替などを分析して投資をすることになりますが、素人には到底難しいです。
投資のプロに任せることで、自分で投資をするリスクと勉強する時間を省くことができます。
※ただし、本当は勉強はしなければいけません。
投資信託は3つの会社によって構成されていて、
- 販売会社
- 運用会社(信託投資会社)
- 受託会社(信託銀行)
があります。
①販売会社は投資信託を顧客に販売する会社です。
証券会社や銀行が販売会社です。
②運用会社(信託投資会社)は、ファンドマネージャーやトレーダーが投資の方針を決めたり、運用指示を行っています。
③受託会社(信託銀行)は、実際に顧客の資金を預かり、②運用会社(信託投資会社)から投資指示を受けた通りにお金を動かします。
野球に例えると、②運用会社は監督で、③受託会社は選手だと思ってください。
投資信託のメリット
投資信託のメリットは、
- 投資のプロに投資を任せられる
- 少額から始められる
- 個人では投資できない投資先に投資できる
- 分散投資できる
の4つです。
①「投資のプロに投資を任せられる」は、前述の通り、難しい投資の勉強をしなくても投資のプロに投資を任せられるメリットがあります。
②「少額で始められる」ですが、本来、株式投資は1000株単位で数十万円~数百万円単位の資金が必要です。
ですが、投資信託は「みんなでお金を出し合って大きいお金(ファンド)を作り、大きい投資先に投資する」という仕組みですので、1人当たりの投資額は少なくても投資を始められます。
小さいものだと月々500円から始められる投資信託もあります。
「投資が初めて」という人は、いきなり大きい金額を投資するのは怖いですから、少額から始められる投資信託にはメリットがあります。
③「個人では投資できない投資先に投資できる」は、②「少額で始められる」と似ていますが、自分1人では手が出ないような投資先に投資することができます。
本来は最低の投資金額が数百万円や数千万円必要なファンドでも、みんなでお金を出し合っている投資信託ですから資金が集まり投資できます。
債券や海外株式など大きい金額が必要な投資先でも個人レベルで投資をすることができます。
④「分散投資できる」ですが、投資信託の商品は色々なところに分散して投資している商品が多いです。
分散投資をする目的は「リスクを下げるため」です。
例えば、1つの株式銘柄に全財産を投資するとかなりリスクが高いですよね。
株式に投資した会社が傾けば、自分のお金も大きく減ってしまいます。
分散投資はさまざまな投資先に分散して投資していますので、どれか1つがダメになっても他で利益が出ていれば投資金額を大きく減らすリスクを軽減できます。
本来、分散投資を1人でやろうとすれば、複数の投資先に分散投資するわけですから多額の投資資金が必要です。
ですが、投資信託は「みんなでお金を出し合って大きい投資をする」という手法ですから、少額でも分散投資をすることができます。
以上、投資信託には4つのメリットがあります。
投資信託を始めた人の半数は損をしている
ですが、現実的には投資信託を購入して利益を出せている人は半数ほどです。
2018年6月の金融庁の発表では、
- 投資信託で利益を出ている人の割合:約54%
- 投資信託で損失が出ている人の割合:約46%
となっています。
投資信託で利益を出せる確率は約半分です。
2人に1人は損失を出しています。
投資損益の人口割合は、
- 投資損失-50%~:0.9%
- 投資損失-30%~-50%:1%
- 投資損失-10%~-30%:9%
- 投資損失0%~-10%:35%
- 投資利益0%~10%:21%
- 投資利益10%~30%:19%
- 投資利益30%~50%:9%
- 投資利益50%~:6%
となっており、「投資損失0%~-10%:35%」の人がもっとも多いことがわかります。
引用元:金融庁「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIを用いた分析」
投資信託は損をする可能性も高いということです。
それでは、投資信託のリスクやデメリットを見ていきましょう。
投資信託のリスク
投資信託のリスクをご紹介します。
いくら「投資のプロに任せられる」といってもリスクがあります。
くれぐれもお伝えしておきますが、投資信託に「元本保証」はありません。
※どうしても元本保証が良ければ投資はやめておきましょう。
投資の世界の「リスク」とは、投資した先の価値の変動幅のことです。
例えば、10増える可能性があるということは、10減るというリスクがあるということです。
「リスクをとらないと大きいリターンは得られない」というのが、投資の世界の基本です。
投資信託を契約するときは「リスクは投資家が負う」と説明があります。
つまり、投資したお金が減っても証券会社や銀行・運用会社(信託投資会社)・受託会社(信託銀行)の責任ではなく、投資した人の自己責任ですよということです。
投資で失敗してしまった場合は「その投資信託を選んだ自分が悪い」ということです。
この考え方が納得いかないようであれば、投資信託はやめておいた方がいいでしょう。
価格変動リスク
投資信託の投資先の株式や債券の価格は常に動いています。
投資先の株式の価値が下がったり、債券の価値が下落すれば元本割れするリスクがあります。
価格変動の要因は、
- 企業の業績の変化
- 企業の取引先の業績の変化
- 市場の変化
- 金利の変化
- 景気の変化
- 物価の変化
- 税金制度の変更
- 法律の変更
- 国の情勢の変化
- 海外の情勢の変化
などが原因です。
様々な要因で投資先の価値は変動します。
思いもよらない価値の下落もあると想定しておきましょう。
金利変動リスク
金利変動リスクは、主に債券に投資した際のリスクです。
「債券」とは、国債や社債などのことです。
国や企業が債券を発行します。
投資家は「国や企業にお金を貸す代わりに利息を受け取る」というのが債券の仕組みです。
債券には金利がついており、金利は常に変動しています。
市場の金利が変動することによるリスクが「金利変動リスク」です。
例えば、自分が投資した債券の金利が3%だとしましょう。
ところが、市場の金利が下落がして1%になったとすると、自分が持っている3%の債券は価値が高いと言えます。
これから債券に投資しようと考えている人は1%の金利ですからメリットが少ないです。
むしろ、自分がもっている3%の債券を欲しがる人が多いですから、債券を売却すればトクということです。
ですが、反対に市場金利が5%に上がったとしましょう。
すると、自分がもっている3%の債券を欲しがる人はいませんので、売却したら損ということです。
自分が保有している債券が、市場金利が変動することで価値が高くなったり低くなったりすることを「金利変動リスク」といいます。
投資信託には債券に投資しているものも多いため、金利変動リスクがあります。
為替変動リスク
為替変動リスクは、主に海外債券や海外株式に投資した際に発生するリスクです。
為替は常に変動しています。
例えば、1$=100円のときに米ドルに100万円投資したとしましょう。
1$=100円のときに100万円でいくらの米ドルが買えるかというと、
100万円÷100円=10000$
となります。
ところが、為替が変動して1$=90円になったとしましょう。
1$=90円のときに、保有している10000$を円に換金すると、
10000$×90円=90万円
となり、投資した100万円から10万円損をしていることがわかります。
為替が円高になると損失が大きくなり、円安になると利益が大きくなります。
為替の動きは誰にもわからないため、リスクがあります。
投資信託の中には、外国債券や外国株式に投資しているものもあり、為替変動リスクがあります。
ちなみに、先進国は為替変動幅が少なく、新興国ほど為替変動幅が大きいです。
新興国債券は金利が高く魅力的ですが、為替リスクが大きいです。
信用リスク
株式投資をした際に、投資先企業が倒産してしまったら株価はゼロになってしまいます。
ですが、世の中につぶれない企業はありません。
企業は、
- 市場の変化
- 取引先の経営状態の悪化
- 顧客の減少
- 資金繰り
- 金利上昇
- 税制改正
- 国際情勢
- 為替リスク
など、さまざまなリスクを背負って事業をしています。
不測の事態が起こり、経営状態が悪化したり、倒産してしまう企業もあります。
信用リスクをゼロにすることはできません。
流動性リスク
流動性リスクとは、投資信託を解約して現金化できないリスクです。
投資信託は複雑に組み上げられていて、すぐに現金化・解約できないものも多いです。
市場の変化で、自分の投資先の金融商品が市場で買い手がつかなかったり、取引所が閉鎖されたときなどは現金化が遅くなります。
市場が下落しているときは想定より解約金額が小さくなるリスクもあります。
また、投資信託は銀行預金とは違い、解約するときは資産配分の組み換えや資金調達が必要になり、大きな手間がかかります。
途中解約の際は手数料がかかるので、元本割れするリスクもあります。
投資の基本の話ですが、使う予定のある資金を投資信託に入れてはいけません。
あくまでも「当面使う予定のない資金」が投資に回すお金です。
カントリーリスク
カントリーリスクとは文字通り「国のリスク」です。
主に、国の債券に投資する投資信託に発生するリスクです。
近年だと「ギリシャ危機」が記憶に新しいですよね。
ギリシャの財政赤字が大きく、国がつぶれかけたことがあります。
ギリシャはEUに加盟していたため、EU全体の下落につながり、世界的に影響力のあったユーロの下落で世界的な影響がでました。
その他のカントリーリスクの事例では、
- 2008年のジンバブエのハイパーインフレ:通貨価値がほとんどなくなる5000億%(物価50億倍)の超ハイパーインフレ、実質的な財政破綻
- 1997年の韓国通貨危機:国連機関「IMF」により資金の貸し付けがあった
- 1991年のソ連崩壊:ソ連崩壊により、当時の通過「ルーブル」の価値が紙同然になった
- 1946年の日本円の崩壊:軍事国債の過剰発行による日本円の急落。預金封鎖の後に新円切替が行われた
などがありました。
投資している国の財政が悪化すれば、当然価値が下がるため、投資信託の価値も下落してしまいます。
日本国債でも外国債でも、カントリーリスクは必ずあります。
投資信託の手数料リスク
投資信託は投資のプロに投資を依頼することから、手数料がかかります。
ちなみに、個人で株式投資を行う際にかかる手数料よりも、投資信託にかかる手数料の方がかなり高いです。
投資信託は手数料が発生するため「元本割れからスタートする投資」です。
投資信託にかかる手数料を見ていきましょう。
販売手数料
「販売手数料」は投資信託の販売会社である証券会社や銀行に支払う手数料です。
相場は、投資信託に投資した金額の1~3%です。
近年のゼロ金利政策で、銀行は企業や個人にお金を貸すよりも、投資信託を売って3%の手数料の方が儲かります。
だから、銀行に行くと投資信託を勧められるのです。
銀行や証券会社は販売手数料1%~3%を稼ぐために、
- 手数料率の高い投資信託
- 投資金額の大きいお客さん
を喜びます。
営業マンにもノルマがあるため、手数料の良い投資信託を売らなければいけません。
そのため「お客さんに合う投資信託」よりも「販売手数料が高い投資信託」を優先して販売したがります。
投資信託の中には「ノーロード投信」という、販売手数料がない投資信託もありますが、証券会社や銀行は売りたがりません。
※販売手数料が入らないため、売っても利益がないからです。
投資初心者には、手数料の高い投資信託を勧めてくるケースが多いです。
初心者は投資信託商品のデメリットがわからないため、まんまと手数料の高い投資信託を購入してしまいます。
手数料が高い投資信託が利益の出る投資信託とは限りません。
そもそも手数料が高いということは、投資家の手取りが減るということですから、顧客本位の金融商品とは言えません。
信託報酬(運用管理費用)
信託報酬(運用管理費用)は運用会社に支払う手数料です。
投資信託を保有している間は毎日信託報酬がかかります。
信託報酬の相場は年間の総資産額の0.5%~3%で、投資信託を長期で保有するほど手数料の総支払額が高くなります。
信託報酬は運用資産から毎日引かれているため、手数料を払っている感覚がないため注意してください。
監査報酬
投資信託は決算ごとに会計監査を受ける必要があり、監査の費用がかかります。
会計監査法人に支払う手数料が「監査報酬」で、総資産額の中から引かれます。
売買委託手数料
投資信託は運用成績によって銘柄を入れ替えています。
銘柄入れ替えの際の売買にかかる手数料が「売買委託手数料」です。
総資産額から引かれます。
信託財産留保額(解約手数料)
信託財産留保額は、投資信託を解約するときにかかる手数料です。
投資信託を解約すると、投資信託に新たな資金調達や資産配分の組み換えをしなければいけません。
投資信託を継続している人にそうした費用を払わせるのは不公平なため、解約した人が支払う義務があります。
信託財産留保額を支払うタイミングは解約時の1回だけです。
手数料の相場は、解約時の投資信託の価格0.1%〜0.5%ですが、一定期間保有することで無料になる投資信託もあります。
目論見書の中に信託財産留保額がかかるか記載されているので、投資信託購入前に必ず確認しましょう。
日本の投資信託は手数料が高い
日本は諸外国と比較すると投資信託の環境が悪いです。
投資信託の格付け評価を行っているアメリカの「モーニングスター」が2015年に発表した、世界25ヶ国の投資信託市場評価の調査によると、日本の投資信託市場評価は下から2番目という悪い結果でした。
投資信託市場評価の国別ランキングは、
- A:韓国、アメリカ
- A-:オランダ、台湾
- B+:英国
- B:スウェーデン
- B-:オーストラリア、スイス、デンマーク、フィンランド、ノルウェー
- C+:ニュージーランド、カナダ、ドイツ、インド、タイ
- C:シンガポール、ベルギー、フランス、南アフリカ、スペイン、香港
- C-:イタリア、日本
- D+:中国
となっています。
日本の総合評価「C-」の詳細は、
- 総合評価:C-
- 課税法規制:B
- 情報開示:C
- 料金・経費:D+
- 販売手段:B-
です。
特に「料金・経費」の評価がかなり低く、投資信託の手数料が極めて高い国と言えます。
諸外国では運用成績に応じて手数料が変わる成功報酬型の手数料が一般的ですが、日本では運用成績が良くても悪くても手数料がかかります。
投資信託の手数料で一番高い「信託手数料」も諸外国に比べて高いため、「手数料が高い」という評価をされても仕方ありませんね。
また「情報開示」がCランクと低いです。
投資信託は投資家の資金を預かって投資をしているわけですから、投資状況の開示が必須です。
投資信託の情報開示には「目論見書」というレポートが使われますが、諸外国に比べると日本の投資信託の目論見書は「内容が少ない」と評価されています。
日本のほとんどの投資信託には販売手数料がかかります。
※海外では販売手数料がかからない投資信託も多いです。
販売手数料のかからないノーロード投信は少ないですし、証券会社や銀行が売りたがらないので、なかなか出回りません。
2016年の金融庁金融審議会では、日本の投資信託の手数料は高くてわかりにくいため「顧客本位ではない」と評価しています。
アメリカと日本で、売上の高い投資信託の上位5位の販売手数料を比較すると、アメリカが0.59%に対して、日本は3.2%と、約5倍の手数料率です。
引用元:金融庁金融審議会
日本で投資信託はしない方がいいかもしれませんね。
手数料が高い投資信託
販売手数料や信託報酬が高い投資信託は、
- アクティブ型
- 毎月配当金を分配するもの
- レバレッジがかかるもの
- 為替ヘッジがあるもの
- 窓口での購入
などが代表的です。
①アクティブ型とは、新興国株式や成長しそうな小型成長株などを中心に投資するものです。
②「毎月配当金を分配するもの」は、もっとも損失が出やすい投資信託です。
まとまった資金を投資信託に預けると、毎月配当金が出るタイプのものです。
手数料がとても高いことと、元本割れしやすいことがリスクです。
⑤「窓口での購入」ですが、投資信託はネットで購入する方が手数料が安いです。
窓口は人が対応しなければならないため、手数料が高いです。
基本的には、ハイリスクハイリターンな投資信託ほど手数料が高くなります。
手数料が安い投資信託
手数料が安い投資信託は、
- パッシブ型
- インデックスファンド
- 公社債投資信託(MMF・MRF)
- ETF
などが代表的です。
①「パッシブ型」とは、市場全体に配分して投資することでローリスクローリターンの投資信託です。
②「インデックスファンド」も①「パッシブ型」に含まれ、日経平均株価と連動するものです。
インデックスファンドには手数料が無料のものがあり、信託報酬もアクティブ型の10分の1くらいです。
③「公社債投資信託(MMF・MRF)」は、株式投資には投資せず、社債や公債のみに投資するファンドです。
基本的に株式投資はハイリスクハイリターン、債券投資はローリスクローリターンです。
※MMFは「マネーマネジメントファンド」、MRFは「マネーリザーブドファンド」の略です。
④ETFは日経平均株価やTOPIXと連動する上場株式の投資信託で、株式投資のように途中で売買をすることもできます。
基本的には、ローリスクローリターンの投資信託は手数料が安いです。
毎月配当金分配型の投資信託は初心者が大損するリスクが高い
退職金運用で老後の生活資金確保のために、利回りに惑わされて毎月配当金分配型の投資信託に投資する人がたくさんいます。
まとまった資金を投資信託に入れて、元本を減らさずに毎月の生活費として配当金を受け取りたいという気持ちはよくわかります。
ですが、毎月配当金分配型の投資信託が元本割れしてしまうケースが多発しています。
特に、利回りの高い毎月配当金分配型の投資信託ほど元本割れのリスクが高いです。
毎月配当金分配型の投資信託が元本割れするケースは、
- 運用成績が悪くて元本割れしてしまう
- 手数料が高いため元本割れしてしまう
の2つがあります。
①と②が両方同時に起きている投資信託も多く、元本割れが進行します。
毎月配当金分配型の投資信託のトラブルで多いのが、投資した本人は「毎月利益が出ている」と思って分配金を受取っていたら、ただ元本を切り崩して分配を受けていただけで、大きく元本割れを起こしているケースです。
毎月配当金分配型の投資信託の分配金には、
- 収益分配金
- 特別分配金
があります。
①「収益分配金」は文字通り、投資信託で出た収益の分配ですが、②「特別分配金」は元本を切り崩して分配しているだけです。
高い手数料を払って自分のお金を引き出しているだけですし、元本を減らしているのでどんどん分配金も小さくなります。
※投資したお金を高い手数料を払って引き出すなら、銀行預金においておく方が良いですよね(^^;
なぜ毎月配当金分配型の投資信託はリスクが高いのか?
なぜ毎月配当金分配型の投資信託はリスクが高いのでしょうか?
それを知るためには、投資のリスクについておさえておきましょう。
リスクの高い金融商品の特徴は、
- すぐにリターンがでる
- 単利の金融商品
です。
リスクの低い金融商品の特徴は、
- すぐにはリターンがでない
- 複利の金融商品
です。
単利と複利の違いは、
- 単利は、元本のみに利息がつくもの
- 複利は、元本から生じた利息を次期の元本に組み入れて、元本と利息に次期の利息がつくもの
です。
例えば、元本100万円に年利5%の場合の、単利と複利の違いは、
となり、オレンジ色の複利の方が増えることがわかります。
単利は100万円の元本にだけ5%の金利がかかるため、100万円×5%=5万円だけ利息がつきます。
複利は前年の「元本+利息」にさらに利息がつくため、単利よりも大きくなります。
つまり、複利は総資産が大きくなるためリスクが低く、単利は複利より増えないためリスクが高くなります。
※総資産額が大きいほど価格変動にも耐えられるため、リスクが低いという意味です。
毎月配当金分配型の投資信託は、分配金を毎月受け取るので、単利の投資信託ですからリスクは高く、総手取り額は少なくなります。
また「すぐにリターンがでる」金融商品は、高いリスクをとらなければいけませんし、高い投資スキルが必要です。
そのため、元本割れのリスクもあり、手数料も高くなります。
よって、毎月配当金分配型の投資信託はリスクの高い投資信託と言えます。
困ったことに、毎月配当金分配型の投資信託は販売手数料が高いため、証券会社・銀行が勧めてくるケースが多いです。
「証券会社がすすめるなら安心」「銀行がすすめるなら安心」と騙されてしまい、高リスクの毎月配当金分配型の投資信託に手を出してしまう人がたくさんいます。
高い手数料で高いリスクのある毎月配当金分配型の投資信託よりも、安い手数料で低リスクのインデックスファンドの方が運用成績が良いという事実もあります。
当相談センターに来た毎月配当金分配型の投資信託の相談事例
以前、当相談センターにきた相談の中には、
「月の分配金が10万円で、月の手数料が10万円の投資信託を勧められている」
という毎月配当金分配型の相談も来ました。
まったく意味がありませんよね。
価格変動リスクも考えるとゼロかマイナスかしかありません。
「やめておいた方がいいですよ」とアドバイスさせていただきました(^^;
銀行や証券会社がすすめる投資信託が良い投資信託ではない
「今この投資信託が一番人気です」という売り文句に騙されないでください。
銀行や証券会社がすすめる投資信託は、リスク低くてリターンが大きい投資信託ではありません。
ほとんどの場合は、販売手数料が高い投資信託・銀行や証券会社が売りたい投資信託ですので、注意しましょう。
「人気=優良投資信託」ではないと覚えておいてください。
本当に良い投資信託は少ないし、資産家にしか情報がいかない
投資信託には誰でもいつでも購入できる「公募投資信託」と、限られた人しか購入できない「私募投資信託」があります。
私募投資信託は機関投資家など大口の投資家向けの投資信託です。
簡単にいうと、資産家には特別な投資信託の情報が行き、一般層には普通の投資信託の情報しか行きません。
例えば、あなたが証券会社や銀行の営業マンで、投資信託の販売ノルマがあるとしましょう。
- 資産額500万円の人
- 資産額5000万円の人
- 資産額50億円の人
なら、どの人に営業に行きますか?
当然、③「資産額50億円の人」ですよね?
投資信託を購入してくれる金額が大きいですから、ノルマもすぐに達成できます。
たくさん金額を預けてくれれば2~3ヶ月くらいは仕事をしなくてもいいかもしれませんよ(^^)
また、③「資産額50億円の人」なら、繰り返し投資信託を購入してくれる可能性もあります。
そのため、損をするような投資信託を販売してしまったら信用を失って、もう二度と投資信託を買ってくれないかもしれません。
つまり営業マンは、資産家には良い投資情報を一番早く持っていくものです。
投資信託には、いつでも購入できる「追加型(オープン型)」と、限られた募集期間しか購入できない「単位型(ユニット型)」があります。
単位型(ユニット型)には、本当に良い投資信託もあるのですが、そうした優良投資信託はお金持ちに情報が行き、売り切れてしまいます。
一般層には優良投資信託の情報は回ってこないのです。
また、資産家を顧客にもつ営業マンは超エリートですし、深い投資知識・金融知識があります。
一般層を相手にする営業マンや窓口担当者は、投資知識や金融知識が浅い若い担当者も多く、ノルマのある投資信託ばかりを勧めてくる傾向が強いです。
厳しいお話なのですが、本当に良い投資情報はお金持ちの中だけで回っているのです。
※世の中とはそういうものですよね…。
投資信託で利益を出し続けられるのは数本しかない?
現在日本で販売されている公募投資信託は約6000本です。
また、新発売される投資信託も多数あります。
ですが、約6000本もの投資信託のうち、利益を出し続けている投資信託はごくわずかです。
以前ファンドマネージャーに聞いたところ「本当に優良な投資信託は数本しかない」と言っていました。
長く利益を出し続けられる投資信託は1%未満ということです。
本当に良い投資信託に出会える確率はかなり低いです。
プロでも20%減ったら戻せない?
ファンドマネージャーに聞いたのですが「20%減ったらもう元には戻せない」と言っていました。
バブル期は20%減っても元に戻せたようなのですが、今は難しいそうです。
投資の大切な技術に「損切り」があります。
「ここまで減ったら解約する」という損切りのポイントを決めている投資家は優秀です。
「いつかは戻るかも…」と、ずるずると続けてしまうと、どんどん損失が大きくなってしまうことが多いです。
問題は「どこまで減ったら損切りするか?」です。
ファンドマネージャーが「20%減ったら戻せない」というのを指標にするなら、10%~15%減ったら損切りするのも重要です。
取り戻せないほどの損失を出す前に、負けを認めて損切りするのも立派な投資技術です。
リスクの低い投資信託は?
では、リスクの低い投資信託はどのようなものでしょうか?
リスクの低い投資信託の特徴は、手数料が低いことです。
前述の通り、
- パッシブ型
- インデックスファンド
- 公社債投資信託(MMF・MRF)
- ETF
などはリスクが低いです。
投資のリスクを減らす方法
投資のリスクを減らす方法は、
- 分散投資
- 複利で投資する
- 長期で投資する
- 一度に大きい金額を投資しない
- 投資の勉強をする
の5つです。
長期で投資する
③の「長期で投資する」ですが、リスクを下げるためには「すぐに利益のでる投資に手を出さないこと」です。
例えば、株式投資をする場合は上がった下がったで一喜一憂しないことが重要です。
日経平均株価など多くの企業の株価の平均値は、長期で見れば安定していたり、ゆるやかに上昇していくものです。
有名な投資家であるウォーレンバフェットさんも、長期で投資をするようです。
一度に大きい金額を投資しない
投資のリスクを下げるためには、一度に大きい金額を投資しないのも大切です。
理由は、
- 一度に手元資金がなくなるのを防ぐため
- ドルコスト平均法を使うとリスクが下がるため
の2つです。
ドルコスト平均法とは、一度に投資をしないで、資金を分割して少しずつ投資していく方法です。
例えば、
- 10万円を一括で投資する
- 1万円を10ヶ月に分けて投資する
の2つの投資手法を比較してみましょう。
②の1万円を10ヶ月に分けて投資する場合の、1ヶ月ごとの価格の動きと購入できる数を表にすると、
となります。
10ヶ月での価格の値動きは1月の100から6月の50まで下落していき、7月からまた上昇して10月で90で終わるパターンにしてみました。
※市場は必ず波を打ちますから、現実的な値動きです。
①「10万円を一括で投資する」の場合、1月に10万円を一括投資して、10月の価格は9万円になります。
それに比べて②「1万円を10ヶ月に分けて投資する」方法の、1月から1万円を10ヶ月投資していく場合を見てみましょう。
購入数の合計は「100+111+125+142+166+200+166+142+125+111」の合計で1388となります。
10月の総額は1388×90=124920円となります。
①は9万円に対して、②は124920円となるため、1万円ずつ分割投資する方が総額が多くなります。
分割して投資することで購入価格の平均値をとることができるため、リスクを減らすことができます。
また、価格が下がったときはたくさん買えるメリットがあるため、価格が下落してもメリットがあるのが特徴です。
ドルコスト平均法を活用することで投資リスクを下げることができます。
「時間を分散して投資する」のも大切です。
自分で投資の勉強をするのがもっとも大切
投資信託はプロが運用してくれるとか、分散投資ができるといっても、そもそも投資信託を選ぶ知識がなければ意味がありません。
つまり、投資信託に手を出す前に投資の勉強をしなければいけないのです。
投資の知識がなければリスクが高くてリターンが少ない投資信託を選んでしまう危険性があります。
前述の通り、約6000本もの投資信託の中から優良投資信託を選ぶには、相当勉強しないといけません。
複数の投資信託に分散投資することでリスク軽減して、自分でポートフォリオを組めるように勉強しましょう。
投資の勉強を重ねていくと、そもそも投資信託である必要がなくなる可能性もあります(^^;
※自分で投資できる力が身につけば、わざわざ手数料の高い投資信託を購入する必要がありません。
いずれにせよ、投資の勉強を始めてみるのは良いことですので、投資信託を購入する前に必ず勉強しましょう。
また「投資の勉強をしたくない」という人は、悪いことは言いませんので投資はやらない方がいいでしょう。
投資は、勉強せずに儲け続けられるほど甘くありません。
投資信託の税金
投資信託にかかる税金をご説明します。
投資信託の税率は、利益に対して20.315%です。
また、損失が出た場合は株式との「損益通算」による節税や、確定申告の「譲渡損失の繰越控除」で3年間の節税ができます。
NISA(少額投資非課税制度)は年間投資額120万円までで最長5年、合計600万円までは非課税です。
ただし、NISAは損失が出た場合の損益通算ができません。
また、確定拠出年金(401k)や個人型確定初出年金(iDeCo)を使うことで、さらに税金を節税できます。
確定拠出年金のメリットは、
- 掛け金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 退職所得控除を受けられるため手取りが多い
- 販売手数料が無料
- 信託報酬や監査報酬が安い・無料
- 売買が何度でも可能
などです。
反対に、確定拠出年金のデメリットは、
- 60歳まで引き出しができない
- 解約できない
です。
いくつか節税方法がありますので、活用しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
投資信託にはリスクやデメリットがありますので、注意しましょう。
投資信託のリスクと手数料は必ず事前に確認してください。
銀行や証券会社がすすめてくる毎月配当金分配型の投資信託はリスクが高く、手数料が高いため安易に選ばらないようにしましょう。
銀行や証券会社がすすめる投資信託が優良投資信託とは限りません。
「投資信託はプロに投資を任せられる」といっても、投資信託を選ぶのに投資知識が必要です。
銀行や証券会社に勧められるままに投資信託を選ぶのは危険です。
前述の通り、日本国内で販売されている投資信託は、運用成績が良くても悪くても販売会社・運用会社・受託会社は儲かるようにできています。
つまり、販売会社・運用会社・受託会社は投資信託が売れた時点で利益確定していますし、損することはないのです。
損する可能性があるのは投資家だけです。
投資は自己責任ですので、投資の勉強をかなりしてから投資信託を購入しましょう。
「投資の勉強をしたくない」という人は、投資はやめておきましょう。
ただ、「自分で投資の勉強をするのが一番」なのはわかっていても、なかなかできないという人もいるでしょう。
投資初心者だけど、何とかしたいという人は、当相談センターにお気軽にご連絡ください。
相談料無料で、投資や投資信託の相談にものっています。
当相談センターは金融機関ではありませんので、金融商品の販売は一切ありません。
「銀行・証券会社に投資信託を勧められているけど、投資して大丈夫か?」
「投資初心者だけど、投資を初めて大丈夫か?」
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